『笑えてない。別に俺、何もするつもりないから安心していいよ。ま、話したくないなら無理には聞かないけど。』
そう言うと転校生は兎のような目で俺を見つめると、自分の過去を話し始めた。
「笑えてない……か。あたし小さい頃にお母さんが病気で死んで、ずっとお父さんとばあちゃんとじいちゃんと暮らしてました。お父さんは凄く優しくて大好きだった。だけど中一の冬、目の前で首吊って自殺しました……」
『……』
聞いて後悔した。
この転校生にそんな過去があったなんて。
なんて言っていいかわからずにいる俺の横で転校生は話を続けた。
悲しい笑顔を作って。

