「あーかり!早く購買行こうよ!」
午前の授業の終わりのチャイムが鳴ったと同時に小学校からの親友、蓮朱莉の席へと駆け寄った。それにしても、高2の勉強難しい・・・。
「おっけー。今行くわー!美佳に今回は勝つ!」と教科書をしまいながら私、篠原美佳に挑戦している。まぁ、相手が相手だし・・・ちょい緩めでいくか。と思いながら購買まで競争する私と朱莉
「はぁはぁ。。美佳はやすぎ・・・。」と息を荒げる朱莉は悔しそう。
「ははっ。速かった?」
「速いに決まってんじゃん!美佳は‘陸上部’なんだからっ!」
「まぁね。さほど速くないと思うけどなぁ・・・。本気出してないし。。」
「ま、いっか。早く買いに行かないと無くなっちゃう!美佳は飲み物お願い!」
「おっけー!朱莉なに飲む?」
「レモンティーでよろ。」
「はーい。了解!」
「あ、美佳はなにパン?」
「うーん。メロンパン!」
「はいはい。美佳はいっつもそれだよね。」
だって、メロンパン好きなんだもん。。
と呟いて、飲み物を買いに行った。
「えーと、朱莉はレモンティーと、それと私はー、、、あ、あった!ミルクティー!」
とミルクティーを購買の冷蔵庫から取り出そうとした瞬間。誰かの手が重なった。
「あのー、すいません。ミルクティー取れないんですけど?」とその手が重なった男子に言うと、じろりと睨まれた。そして睨み終わったかと思うと、チッと舌打ちをされた。
それが、2年や3年ならまだ許せた。でも、それが1年だったから許せなかった。
けど、これが、やがて運命の出会いだったと知るのはたぶん当分先の話―――――。

「美佳ー!何してんのー!?」と朱莉に叫ばれたので、朱莉の元へ戻った。
『へぇ、、美佳って言うのかぁ。2年だなたぶん。(ニヤッ)』
とアイツが怪しく呟いていたのは一生知ることが無いだろう。。

「もー!美佳なにしてたの・・・?なんかあの1年と話してたみたいだけど、、。」
「えっ!?あの1年のこと知ってるの?」
「美佳は知らないの・・・?有名だよ?」
「えー、しらなーい。誰なの?詳しく教えてっ!」とメロンパンの袋を開けながら言う。
「もう!しょうがないなぁ。あの1年は‘比那瀬優希’通称ひな。理由はひよこみたいにちっちゃいから。性格はやんちゃ、、すぎる。でも、結構神経質で几帳面らしい。中学のときは、毎日女をとっかえひっかえしてたみたい。でも、そのなかでも一番長く付き合っていたのが‘沖野篠乃’1年付き合ってたって。でも、その篠乃って子がしつこかったらしくてね。最初はよかったらしいんだけど。その比那瀬って子がさ、モテてたらしくて彼女いても告白されるような状態で、それが耐え切れない!って篠乃って子がいったから別れたんだって。」といい終えると朱莉はレモンティーを一口飲んだ。
私は、メロンパンを食べ終わると、ミルクティーを飲んだ。
「アイツは、ミルクティーが好きなのかな・・・?」
「なんで・・・?」
「いや。さっきね、私がミルクティー買おうと思ったらそいつの手がにょきって出てきてさ、私が取れないんだけど、って言ったら舌打ちしてきたんだけど、、そんなにミルクティー好きだったのかな?と思って。。」
「ふぅーん。それでさっき購買の冷蔵庫のとこで話してたんだー、あんたたち。」
「うん。そうだよ?」
「いいなぁ・・・。私も一回話してみたいんだよな。」
「なんで?朱莉には幼馴染の彼氏がいるじゃん!」
「比那瀬くんは特別!かっこいいし、頭もいいらしいし、スポーツもできる!完璧じゃん!」って朱莉は言ってたけど、そんなこと言ってるとまたやきもち焼きの彼氏が飛んでくるんじゃいかな?とヒヒヒって笑ってたら、ホントにきた!
「おい!朱莉。お前アイツのこと好きなのか?!」どこから噂を聞きつけてきたやら。。
「アイツって誰よ!」あー、朱莉わかってないの?
「あれだよ、1年の比那瀬!」
「なんで?かっこいいとは思ったけど、好きじゃないし、まずタイプじゃない。」
その言葉に安心したのか朱莉の彼氏‘瑞森翼’は胸を撫で下ろしていた。
「はぁー。よかったー、アイツモテてるらしいから朱莉も好きになっちゃうかなって。」
「そんな、好きになるわけないじゃん!私が好きなのは、翼ひとりだけだよ!」
「あ、朱莉~!」
「翼~!!」と公共の場で抱き合う二人。
「あのー、お取り込み中悪いんですが、、、皆さんガン見してますよ・・・?」
私が言った言葉で、今の状況がやっとわかったのか、バッと離れた朱莉と瑞森くん。
「いやぁ~。すいませんね。」はははっと笑う朱莉と、照れて何にも言わなくなった瑞森くん。この二人はほぼいつもこうだから、たいしてみんな気にしない。
クラスが違う瑞森くんは、こうして昼休みになると毎日朱莉のクラスに走ってくる。
野球部の瑞森くんは、足がすっごい速い。わたしでも、追いつけない。。
そしてこの昼休みに少し遅れてくる奴が‘志賀幸人’。一応私の、、、彼氏。
ガラガラガラッ!と勢いよく入ってくる奴、、幸人だ。
背は低いのに、足が速くてすばしっこい。私よりかは少し遅いかな・・・?
「おーっす!また遅れたわー。」とケラケラ笑っている。
幸人が遅れるわけは、クラスが違うから、、、じゃなくて校舎が違うから。。
こう見えて幸人は、この4人の中で一番賢い。いわゆる天才。だから幸人は特進科。
私たちは、普通だから普通科。そして幸人は、この学校の生徒会長だ。。
だから、一緒に帰れないし、ましてや一緒に学校にも行けない。特進科は寮生活だから。
しかも生徒会長だからたくさん仕事もしなくちゃいけない。だから、会えるのはこの昼休みだけ・・・。そんな私たちが付き合いはじめたのは、中3の夏だった。。
幸人が、レベルの高いところにいくって言ってたのに、急にレベルを落としたから理由を聞いたら『お前と離れたくないんだよッ!俺は、お前が好きだ。付き合ってくれ』って言われた。私も、幸人のこと好きだったからオッケーした。そしたら、レベル下げた学校は特進科があるって聞いたらしく、もちろん推薦で合格。私たち3人はなんとか受験に合格した。そして晴れ晴れ高校生。昼休みだけに会う関係だけど、ちゃんと続いてる。
それで、今現在は高校2年生。私たち幼馴染の4人は小さい頃の約束を忘れずずっと仲良くしてる。たまに喧嘩もしたけどすぐ仲直りそんな私たちが出会ったのは、保育園のとき強気な私。弱虫だった瑞森くん。そして昔から賢かった幸人。で、朱莉は小3のときに転校してきて、すぐ仲良くなった。それからは、ずっと4人で過ごしてきた。