キーンコーンカーンコーン……
校内で下校を促すチャイムが鳴った。
部活のある人はそれぞれの部室へ向かうところだろう。
私、夕暮那奈々もそうするはずだ。
“はず”だったのだ。ついさっきまではー…。

ー10分前ー
「那奈々ちゃん、お願い!力を貸して!」
いきなり教室に飛び込んできた、上級生だと思われる女子生徒はこう言ったのだ。
いや…どこかのバトル漫画じゃないんだから…。
「いや、ごめんなさい。私、今から部活あるので。」
私は荷物を持ち、椅子から立ち上がった。