『この辺…かな?』


教室をそろそろと覗きこんだ。


…誰もいない。


『はぁ…』


なんだか疲れがどっと出た。


思わず教室の中で立ち尽くした。


その瞬間


『っ!!』


バリーン!!


…教室の窓が全部割れた。


窓側の壁なんかも破壊されて煙が出てきた。


…煙の中から人が出てきた。


腰ほどまである白い髪がふわりと舞う。


身を覆う黒いマントを着ている。


驚きで固まったままその人を見つめると
煙で見えなかった顔が見えてきた。


男だ。


中性的な顔だけど背も高いし。


男はあたしを見つめてにんまりと笑った。


顔は悪くないはずなのになぜか鳥肌が立った。


『君、動けるの?』


この人なにか知ってる…!!


『あんた、誰!?あんたがみんなになんかしたの!?』


にやにや笑いながら男は首をかしげた。


『うーん?それは僕のせいじゃないよ?てかさ。君、なんも知らないの?』


『なんのこと?今起こっているこ
と?…知らないわ』


『ふーん。まあいっか』


そう言って男はあたしにすっと近づいてきた。