「あ、空汰君…お弁当忘れて行った」
机の上にぽつんと置かれた私の作ったお弁当。
購買もあるし、なんとかなるだろう。
そう思って洗濯ものに目を移した。
鼻歌を歌いながら、洗濯物を干してから、食器を洗って、最近始めたスーパーのパートに向かう。
「あ、野山さんおはよう」
「田中さん、おはようございますー」
『野山さん』、そう呼ばれるのにも最初は全然慣れなくて。
最近やっと慣れてきた。
もう『天海さん』って呼ばれたら返事できないかも。
田中さんは仕事の先輩で、色々なことを教えてもらう。
レジ打ちは慣れたら簡単だけど、最初はどうも焦ってしまう。