彼女を襲ってきたアヤカシが全て火の塊になった頃、彼女は火に囲まれていた。 そのおかげで、俺は彼女を見れた。 「!」 ドクン、と心臓が脈を打つ。 綺麗な長い黒髪。 まだ幼さが残る、あどけない顔つき。 なのに、どこか落ち着いた雰囲気を纏ってて。 小さな背。 何故か目が逸らせなかった。 何故か顔が紅潮する。 何故か心臓が五月蝿い。 ――惚れた 俺は見開いた目を閉じれなかった。