【妃菜side】

「オエッ、オエッ…」

「気持ち悪いな。もうちょっとしたらマシになるからな」

「オエッ、オエッ、オエッ…もう、やー」

「そうだなー、でも、頑張ってるもんな」

先週から、新たな強い薬が点滴で入れられるようになったんですが、この薬がものすごく副作用がキツイもので吐き気がなかなか治まりません。

副作用の出ている間は、お兄ちゃんがずっと寄り添って、背中を擦ってくれています。

「オエッ、オエッ。エーン…(泣)」

「しんどいね。泣くともっとしんどくなるから、泣かないの」

「きもちわるい…、オエッ」

「よしよし、大丈夫、もう少しで楽になってくるから」

吐き気止めの薬を入れてもらっても、ほとんど効き目がなく、吐き気と闘うしかないのです。


数時間後・・・

「ようやく治まったね!良く頑張ったよ」

「うん…」

「ちょっと疲れたから、寝ようね。」

「明日もやらないとダメ?」

「このお薬か?そりゃ、やらないとな。副作用つらいけど、必ず効くから、数値が良くなってくるまで頑張ろうな」

「やだ…、やりたくない…」

「嫌だよね。でもね、いつも言ってるように『やらない』はないよ。厳しいこと言ってるようだけど、妃菜は頑張れるってお兄ちゃんは信じてるから」

「そんなこと言ったって…もう、しんどいよ…(涙)」

そう言って、布団にもぐってからも、涙が止まりません。

お兄ちゃんは、どんなに辛いのか分かってないから、あんなふうに言えるんです。

もう、薬もお兄ちゃんも何もかも嫌になってきました…