【兄side】

「俺は医者なんだから、何も恥ずかしがることないって何回も言ってるんだけどな…なんか、妃菜の心を傷つけてるんじゃないかって思う時もあるんだよな…」

友1「相手が医者であったって患者は多少の羞恥心はあるもんなんだよ。うちに来る患者もみんなそんなもんだから。」

友2「相手が同性の医者なら少しはマシなのかもしれないけどな…」

友1「以前、妃菜ちゃんぐらいの年齢の女の子が一時的な排尿困難症で、入院して、尿道刺激の処置で排尿させてたんだけど、その子が嫌がって拒絶しているのに無理やり処置をしてるところを親が見て、激怒されたことあったわ(苦笑)」

「『うちの娘に何するんですか?かわいそうじゃない!やめてください』みたいなこと言われたんだろ?」

友1「はは、そのとおり。この処置の重要性を説明しても、理解されずに、その子には留置カテーテルすることになって…尿道刺激したら排尿できる状態で、早く治すにはこの処置がベストだったのに、親の過保護のせいで、結局その子は慢性排尿困難症になって、今でもずっとカテーテルだわ。」

友2「あーあ、尿道刺激処置続けてたら、一時的なものだったから治ってたのにな。」

友1「ああ…、慢性になってからも尿道刺激処置じゃなく、カテーテルに逃げたから、もう回復の可能性もなくなったからな。お前は、妃菜ちゃんをそんな風にはさせたくないんだろ?」

「ああ、慢性的であっても、出来るだけ自然な形でさせてやりたいし、尿道刺激の方を続けてると、回復する可能性もゼロじゃないから!」

友1「そう思ってるなら、悩んでないで、それを貫けよ!お前らしくないそ!専門医としてもお前の考えは正しいと思うよ。」

友2「結局はすべて妃菜ちゃんのためになるんだから、それで良いんじゃないのか?」

「そうだよな!妃菜のためならどんなに嫌がっても心を鬼にしてやってるんだけど、いつもみたいに処置が痛いから・苦しいからとかの理由じゃなくて、羞恥を訴えて嫌がったことがなかったから、俺も若干動揺してさ…。あっ!もうちょっとで排尿処置の時間だわあ!」

友1「今回、俺にやらせてくれないか?その前に、ちょっと妃菜ちゃんと話してくるわ!」

「頼んだ!」