【兄side】

妃菜は先日まで、高熱をだし、寝たきり状態だったので、尿道カテーテルを挿入し留置して、排尿させていた。

もう、熱も下がり、元の生活に戻ったのだが、全くトイレに行っていないので、妃菜に聞くと、尿が出る感じがなくて、出ないと言ってきた。

1週間程、尿道カテーテルを留置していたのに加え、高熱の一時的な後遺症で排尿困難になってしまったのだと考えられる。

尿が出ないからといって溜めすぎていると、膀胱炎など別の病気になってしまうので、排尿させてやらないといけないが、尿道カテーテルを使うと、排尿障害を悪化させる恐れがあるので、カテーテルは使えない。

そうなると、尿道を長い専用の綿棒のようなもので刺激して、排尿を促してやる方法しかない。

これは、ベッド上で仰向けの状態でしか出来ない処置なので、妃菜にはかわいそうだが、治るまではベッドの上に敷いた尿パットで排尿してもらうことになる。

「妃菜、おしっこ出せなくなってるしょ?この前の熱でちょっと、おしっこする機能が弱くなっちゃったからなんだ。でも、カテーテル入れられるといいんだけど、そうすると治るのもと遅くなってしまうから…」

「じゃあ、どうするの?」

「あのね…尿道っていうおしっこの出る穴に専用の綿棒のよなものを入れて、刺激して、おしっこ出すようにするよ。寝転んだ状態じゃないと出来ないから、嫌かもしれないけど治るまではトイレじゃなくてベッドでしようね」

「や!そんなのやだ…」

「うん、嫌だよね。でもね、おしっこがずっと出なくて溜まっていったら身体に悪いから、出してあげないと」

「でも、そんな方法やだよ…」

「ごめんね、でもこの方法しかないんだ。」

「やだ…ベッドでおしっこするなんて、赤ちゃんじゃないのに…恥ずかしい…(涙)」

妃菜はそう言って、布団に頭までかぶせて泣いてしまった。

「ひーな!出ておいで、そんなとこで泣いてると苦しくなっちゃうよ」

それでも、一向に出てこようとしないので、布団の中から妃菜を出して、ベッドに座った俺の膝に乗っけて抱きしめてやった。