【兄side】

経鼻胃管チューブは挿入する時も違和感・痛み・苦しさがあるり、挿入後も違和感や若干の痛みがあるままなので、出来れば避けてやりたい処置なんだが、食欲がここまでない状態では、チューブで栄養を入れざるを得ない。

「鼻からチューブ入れるから、その前に動いたら危ないから身体ちょっと固定させてね」

「やーーー!やらない」

「やらないなんて選択肢はないよ」

仰向けに寝かせた妃菜の手・腰部・胸部・肩・頭部をしっかり固定する。

「じゃあ、チューブ入れていくからね。ちょっと気持ち悪いけど我慢ね」

軽く麻酔をした鼻にチューブを挿入していくが、鼻の奥の方まで進めた頃から痛みが出てきたようだ。

「痛い、やめて!」

「ちょっと痛いね。苦しいと思うけど、喉にチューブがきたら頑張ってゴックンしてね」

喉の方までチューブを進めたが、苦しがるだけで、一向に飲み込もうとしない。

「妃菜!ゴックンだよ、ゴックンして!」

「やー、やめて…」

「やめないよ!ゴックンしないなら、ちょっと痛いし苦しくなるけど、入れるよ」

そう言っても飲み込まないので、無理やりにチューブを進めていった。

「ゴホッ、ゴホッ、ゴホッ、やー(涙)」

「苦しいねー、頑張れてるよ、もうちょっと我慢ね」

チューブを胃まで挿入し、エコーで確認も終え、固定具を外してやった。

「はい、終わり!頑張ったね」

チューブを固定しようとした時に、妃菜の手が鼻のチューブに伸びてきた。

「ひーな、取らないよ!取ったらもう1回やらないといけないよ。だから手戻そうね」

そう言ってチューブを固定したのだが、やはり違和感があるのか、妃菜は何度もチューブに手を持って行こうとする。