【妃菜side】

免疫を高める薬も厳しい水分制限もなんとか頑張ることができ、旅行の日がきた。

今日は早起きし、一連の排便処置を行い、朝食を食べ、服薬を終え、お兄ちゃんの運転する車で目的地に向かって出発した。

久しぶりに外出用の服をきました。わたしの普段着はもはやパジャマで、お散歩に行く時もパジャマの上に上着を羽織る程度なので、すごく新鮮な感じがします。

「久しぶりにいろんな外の景色見れるのに、寝転んでたらちゃんと見れないじゃん!座っててもいいでしょ?」

「ダメだよ、寝てなさい。向こうに着いてから、しんどくなったら嫌だろ?」
車内ではフラットに倒された後部座席に寝かされ、いつも通りに点滴をしながら行った。

「妃菜、起きて!着いたよ!」

結局眠ってしまっていたようで、気付いたら到着しており、お兄ちゃんに起こされ、点滴も抜かれていた。

「わー!お兄ちゃんいこー!早くー!」

「ちょっと待って!そんな慌てなくたって大丈夫だよ(笑)」

わたしを車いすに乗せた後、荷物を取り出しているお兄ちゃんを急かすように声を掛ける。

ホテルに付き、いつも泊まっている眺めの1番良い部屋に案内された。もう、そこには前もってお兄ちゃんが送った、わたしの医療用品が置かれていた。

このホテルは昔からお世話になっているので、従業員の方達も食事など特別配慮をしてくださり、とても親切なのです。

部屋に着くとすぐに、入念な手洗い・うがいをさせられ、パジャマに着替えました。

せっかく着てきた外出着だけど、旅行中でも治療はされるので、パジャマの方が便利がいいみたいです。

ホテル近くの、浜辺や草原に出かける時も近くなので、普段のお散歩と同様の格好で行くことになります。