【妃菜side】

「妃菜ちゃん、久しぶりね。調子はどうなの?少しお話があるんだけど、聞いてね」

「あ、おばさん、お久しぶりです。今日はまあ、大丈夫です。お話ってなんですか?」

「妃菜、治療終わったばっかりで疲れてるんだから、寝ときなさい」とお兄ちゃん。

「妃菜ちゃんが大丈夫って言ってるんだからいいじゃない。じゃあ、本題に入るわね。率直にに言わせてもらうと、妃菜ちゃん、総合病院に入院して治療しない?」

「えっ!?嫌です…どうしてですか?」

「このままの生活だと、お兄ちゃんが妃菜ちゃんにかかりっきりになって、自分の時間も作れなくて、自由に遊ぶことも恋愛することもできない。お兄ちゃんは治るまで自分が主治医をするって言ってるけれど、一生治らなかったら、一生結婚もできないのよ?」

「おばさん!もうやめてください!!それと、一生治らないみたいな発言、二度としないでください!」

お兄ちゃんはすごく怒った様子で、おばさんに反論しているけれど、わたしは頭の中が真っ白になり、何が何だか分からなくなって、ただ涙だけが流れていた。

「本当のことでしょ!事実を伝えなきゃ!妃菜ちゃん、いい加減にお兄ちゃんを解放してあげなさい」

「おばさん、妃菜を傷つけるだけなら、もう帰ってくれ!!二度と俺らの前にあらわれるな!」

お兄ちゃんが怒鳴って、おばさんは帰って行った。

「お兄ちゃん、わたし入院…す、る、、」

「妃菜、入院なんてしなくていいの!入院なんか絶対させない」と言って、わたしを抱きしめながら、頭をずっと撫でてくれる。

その優しい手に、もっと涙が出てくる。