【兄side】

検査2日目・・・

今日は気管支の検査のみだが、これがまた過酷なものなので、俺も気合を入れないといけない。

まずは、普段自力でものを吐き出せない妃菜の、現在の吐き出す喉の力を検査する。

前もって、喉で痰のようになる検査薬を飲ませてある。

「妃菜、今、痰みたいな感じで喉ちょっと違和感あるでしょ?それを頑張って、自分で吐き出してみて」

「ゴホッ、ゴホッ、ゴホッ」

「上手、もう1回やってみよう」

そうやって、何度か繰り返しやらせた。

「はい、この検査は終わったから、吸引して出しちゃおうね。ちょっと我慢だよー」

いつものように、開口器をつけ、固定をし、咽頭反射で苦しむ妃菜の吸引を終えた。

「はい、お疲れ様!じゃあ、続けて最後の検査してしまおうね」

「いや、やー、やだ、やらないで…」

次の検査が何かを知っている妃菜は、ものすごく拒絶し始めた。

「ねー、次の検査苦しくなるって分かってるのに嫌だよね。でもね、すっごく大事な検査なんだよ。この検査の結果が、妃菜がいつもしてる吸入の治療の今後に関わることになることになるんだから。毎日、妃菜が頑張ってやってる吸入が、どれだけ効いてるか確かめないとね。妃菜が毎日頑張ってるんだから」

妃菜の目線に合わせ、頭を撫でながら、優しく声を掛けた。

この検査は、機械に繋がったマスクをさせ、そこから発作を誘発する薬を入れ、わざと発作を起こさせるので、妃菜にとってはきっと恐怖以外の何ものでもない。

薬は弱いものから1分半ごとに順に強いものへと変えていく。

普段の吸入は気管支を強くする治療なので、それによって、発作への耐性が少しずつ強くなっていく。

その効果を調べ、今後の吸入の頻度や薬の濃度を検討するためには、妃菜がどれだけ苦しがっても、限界だと判断するまでは、ずっと発作誘発の薬は強くなっていくので、そんな妃菜を抑えつけるのが一瞬ためらわれるぐらい、つらい検査になる。