お兄ちゃんは妹の主治医

【妃菜side】

だんだん、しんどくなってきたなと思ったら、やっぱり熱が上がってきてたらしい。

わたしの場合、解熱剤=大嫌いな坐薬だから、解熱剤を使うと言われると、いつも全力で拒否してしまうため、抵抗する前に、お兄ちゃんは素早くわたしのズボンと下着を脱がせ、両足を持ち上げられてしまっていた。

「妃菜、坐薬入れるから、力抜いててね。ちょっと気持ち悪いけど、我慢ね」

お尻に坐薬が入ってくるが、気持ち悪くてどうしても力が入ってしまう。

「これじゃ、入らないよ。フーって息吐いて力抜いてごらん。」

「できないー、気持ち悪いよ…(涙)」

「出来るよ、力抜いたら、すぐに気持ち悪いのなくなるからね。じゃあ、一緒にフーってしようか!いくよ?せいのー、フー」

「フーー、あっ!やだ…」

息を吐いた瞬間に坐薬を押し込まれ、溶けるまで指で押さえられた。

「はい、おしまい。上手に力抜けたからすぐ終われたね」

その後、少しして解熱剤が効いたのか、熱が下がってきた。

「お熱も下がってきたことだし、吸入と胸の注射しようか」

今日ぐらい、いつもの治療やらなくたっていいのに…。たぶん言ったって、お兄ちゃん治療とかのことに関してはすごく厳しいから、絶対にやめてくれないし…

そんなことを思ってると、お兄ちゃんが、

「こんな時でも治療やらなくちゃいけなくて、ごめんね。本当はお休みにしてあげたいんだけど、そんなことできる病状じゃないからね、絶対に毎日やらないといけないんだ」

なんだか辛そうに言うお兄ちゃんを見ていると、大嫌いな治療で嫌だけど、不思議と頑張らないとという気持ちになった。

「わかってるよ。治療頑張る…」