【兄side】

しばらくして、本当に苦しくなったのか、呼吸のために開口した瞬間に、一気に喉の奥に進め、吸引を開始したが、今回の痰はなかなか取れないため、時間がかかってしまった。

「オエッ、オエッ、オエッ」

咽頭反射がひどく出て、涙を流しながら、耐えている妃菜を見てるとかわいそうになる。

「はい、終わり。よく頑張りました。」

「もうしない?(泣)」

「ん?今はしないけど、今日はあと2・3回はすることになると思うよ。痰が詰まってると苦しくなるからね」

「やだー、吸引も苦しいもん」

「そうだね、吸引中は少し苦しいかもしれないけど、しなかったらもっと苦しくなるんだよ。よし、続きでお鼻のお掃除もしとこう」

「入れるから、ちょっとお鼻痛いけど、我慢ね」

少し痛みがあるだけで、痰吸引みたいに苦しくはないから、泣いてはいるが、鼻の吸引は比較的大人しくやらしてくれるようになった。

「少しでいいから、ご飯食べようね」

朝のおかゆの残りを運び、今日はベッドで食べさせることにした。

食後に薬を飲ませ、熱が上がってきてるため、解熱剤を使わないといけない。

解熱剤は点滴、坐薬、口径薬があるが、この後の治療のことを考えると、熱だけでも早く下げてやらないと、かわいそうなので、大抵いつも妃菜には坐薬を使っている。

しかし、この坐薬が大嫌いな妃菜は、毎回嫌がって仕方がない。

「妃菜、お熱上がってきたから解熱剤入れるね」