【兄side】

ペースト状になったミキサー食は見た目はすごく悪くて、食欲は湧かないだろうとは予測できていた。

そしたら案の定、妃菜がグズグズ言ってきた。

「しばらくって?」

「それは分からないよ。機能の回復状況によるから今は何とも言えないな。回復状況に合わせて、少しずつ固形物も食べて訓練していこうな」

それでもまだグズグズ言っている妃菜だが・・・

「さあ、ごはんの続き食べよう!」

「やだ、もう食べないって言った…」

「言ったけど、それはダメだってお兄ちゃんも言ったよね?」

「むー、いじわる…」

「はは(笑)拗ねったってムダだよ。お兄ちゃんが食べさせてあげるから、あーんして」

「んんん…」

食べさそうとしても、頑なに口を開けようとしないので、無理やりに口の中にスプーンを入れた。

「ちゃんとゴックンって飲み込もうね」

「ゴクッ」

「えらい、えらい。この調子で残りも食べてしまおう。お兄ちゃんが食べさせてやるから」

こうして、食べさす作業を繰り返していたら、突然、妃菜がむせだした。

「ひなー、大丈夫だからね。すぐ苦しいのなくなるからね」

そうして、誤嚥してしまったものを吸引した。

まあ、その吸引処置も苦しくて嫌がったのは言うまでもない(笑)

その後も、リハビリを兼ねて毎食時間をかけて食べさし、徐々に固形物も飲み込めるようになったが、やはりまだ誤嚥することも多々あり、食事中の吸引処置は欠かせないのだが。