そんな心情である俺とは対極的に、水無月さんは「おなか空いたなー」とかなんとかつぶやいている。
おなかが空いてるから、就活が美味しそうに聞こえたのだろうか。
一体この人の頭の中はどうなっているんだ。
就活中だけでもいいからその思考回路取得したい。
「小野くんは今から帰るの?」
俺に一歩近づいて、水無月さんが尋ねてくる。
「いえ、ちょっと大学に寄ろうかと思ってた、んですけど…」
「けど?」
「……やっぱりいいです」
「そっか」
そもそも、水無月さんとすれ違いそうになったわけだから、お互い反対方向に行こうとしてたのだ。
それを思い出せば俺が今帰る途中ではないことくらい察しても……やっぱりいいや。
「じゃあ一緒に帰ろー!」
どういうわけかご機嫌な様子の水無月さんが、俺の腕を掴んでくるりと回れ右をさせる。
そのまま歩き出すので、俺は半ば引っ張られるようにして、水無月さんの隣に並んだ。
水無月さんの手が離れる。
俺は少しゆっくり歩いて、歩幅を合わせた。


