「じゃあ、お腹空いたら言ってね?おかゆ…は、出来るかわかんないけど、レトルト探してくるから!」
八の字眉をキリッとさせて、水無月さんはそう宣言する。
作れるか試そうとするところから諦めてる感じが素晴らしいですね、水無月さん。俺ちょっと感心しました。いろんな意味で。
俺は水無月さんに頷いてみせて、一度深呼吸する。
水無月さんはその様子を見守るようにしてから、ベッド脇…テーブルの横に膝をついた。
そのまま正座をして、口を一文字にしたなんとも言えない表情で、ジーっとこちらを見つめ始めた。
前髪を上げた額に、ほんのりと汗をかいているのがわかる。
夏も終わりがけだけど、暑さはまだまだ続いているのだ。
「……あの、冷房の温度下げていいですよ」
と、伝えると、水無月さんはパチパチと瞬きしてから、慌てて首をブンブンと横に振った。
「大丈夫!小野くんが寒いといけないから!」
「俺は別に大丈、」
「大丈夫じゃないの!」
俺の言葉を遮って、水無月さんは言った。
「大丈夫じゃないのに、大丈夫って言わないの!」
「……」
「小野くんが大丈夫じゃないことくらい、水無月さんにはお見通しなのです!」
「……」
「暑かったら私がジャージを脱げばよいのです。ね?」
ある意味大丈夫じゃないですから。主に俺が。


