飲み終えてから、ペットボトルをテーブルに置こうと身を乗り出したところで、水無月さんがハッとしたように、テーブルをズルズルとベッド脇に寄せた。
それから、テーブルに広げっぱなしだったレポートや書類なんかも、全部まとめて床に置いてしまう。
そのいい加減差が、水無月さんらしくて、呆れ半分に、また笑いそうになった。
「…すみません、ありがとうございます」
「ううん。あ、薬とかも置いとくからね!」
「はい」
「あと、えっと…、お腹空いてる?何か食べる?」
何かを思い出すように視線を右上に投げたあと、水無月さんはまた、続けてそう尋ねてくる。
俺は少し考えたあと、首を横に振って見せた。
「……や、今はいいです」
「…私果物くらいなら切れるよ?たぶん……」
たぶんなんだ……。
その不確かなところが、あまりにも水無月さんらしくて。
っていうか、そう言えば水無月さんが包丁持ってるところ、見たことないなあ。
りんごの皮を剥くはずが、気付いたら芯だけになったりしそうだなー……。
なんて考えたら、ちょっと口元が緩みそうになったので、布団で隠すことにした。
「…大丈夫です。今はお腹空かないだけですから」
言うと、水無月さんは眉を少しだけ八の字にした表情で、「そっかあ」と納得した。


