「ペットボトルここ!これ!」
「あー…ありがとうございます…」
「飲む?飲める?起きれる?」
続けて聞いてくる水無月さんに、俺は思わずちょっと笑う。
そしたら水無月さんに「なんで笑うのー!」と怒られた。
だって水無月さん、笑っちゃうほど、泣きそうな顔してるんですよ。
普段だったら、見れないなあ、水無月さんのこんな顔。
「……大丈夫です、飲めます」
言いながら起き上がると、水無月さんは何かを思い出したらしく。
「あ、そうだ!ストローあるよ!」
そう言うが早いか、テーブルに置いてあったビニール袋を引きずるように持ってくると、中から真新しいストローを取り出した。
袋を開け、ペットボトルも開けて、ストローを差し込むと、それをこちらに差し出した。
「はい、これで飲みやすくなったかな?」
「…はい」
「あ、飲ませてあげようか?ペットボトル持っててあげる!」
「いや自分で飲めますから」
言い切ってから、ペットボトルを受け取る。
飲み物を飲むことひとつで、ここまで時間がかかるなんて思わなかったし、ここまで水無月さんが気にかけてくれるとも、思わなかった。


