となりの水無月さん。






「行って何もないってなるほうがいいの!このまま悪化して死んじゃったらどうするのさ!」

「……いや、そこまでは、」

「小野くんは黙ってなさい!今日という今日は水無月さん、小野くんの意見なんて聞いてあげないからね!」


水無月さんは腰に手を当ててそう言い切り、持っていたビニール袋から冷えピタを1枚取り出すと、それを俺の額にベシッと貼り付けて背を向けた。


こんな水無月さんは、初めて見た。

あと、なんか形成逆転された感じで、ちょっとハラタツ。言わないですけど。


風邪を引くなんて考えたことなかったから、冷えピタなんて持ってなくて、だから(付け方はアレだけど)このひんやり感はとてもありがたかった。

熱を持って重たい頭が、気持ち少し、楽になる。

そのまま目を閉じてうとうとしていると、何やらガサゴソとビニール袋や冷蔵庫を漁っていた水無月さんが、「小野くん」と。


「小野くん、ちゃんと水分摂ってる?」

「……あー…」

「空のペットボトルあるけど、もしかしてこれが最後?」

「そー、かもです……」

「小野くん生き急ぎ過ぎだよ…水無月さん心配だから、もう貯水タンク部屋に置きなよ…」


突っ込む体力ないのでナチュラルにボケるのやめてください水無月さん。一応病人ですからね、俺。


「じゃあ、スポーツドリンク買ってきたから、置いとくね?」


言いながら、水無月さんは俺の枕元にペットボトルを置く。

なんの気もなしに布団から手を出し、視界の端に映るペットボトルを手探ると、ベッドなら離れかけていた水無月さんがワタワタと戻ってきた。