となりの水無月さん。






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『知り合い見つけて話してた、ごめん。花火始まるくらいに橋に居ると思う』


友人にそんなメールを送って、携帯電話をポケットにしまう。

ちなみに水無月さんは、携帯電話の電源が切れていて、結局西村さんと連絡をとることができなかった。

「じゃあ俺の携帯でかけますか?」と聞くと、「電話番号覚えてなくてね…?090か080か、たしかそんなのから始まるはずなんだけど…」ってうんうん唸りながらしばらく思い出そうとしてたけど、ダメだった。

っていうか言っときますけどね、水無月さん。携帯番号ってそのどちらかから始まるのが普通ですからね。当たり前ですからね。覚えててくださいね。



「小野くん、お友達に連絡した?」

「しましたよ」

「ちゃんと返事来た?」

「なんでそんなに心配するんですか…」

「お友達は大事にしないとダメだよ!睡眠とお酒とお友達は大事だよ!」


ある意味すごく大事なんだなっていうのはわかりました。とても。

しょうがないのでポケットから携帯を取り出すと、返事が来ていた。


『りょーかーい』


「了解、らしいです」


伝えると、水無月さんは「よしよし」とうなずいた。何故か得意気だ。

連れの人とはぐれて携帯の電源も切れててぼーっとしてるところを知らない人に連れて行かれそうになってた人に、そんな顔されても困ります。