となりの水無月さん。






長い髪の毛を適当に上げて、キャミソールから出ている肩にカーディガンをかけ、八分丈くらいのパンツスタイルに、ヒールの低いサンダル。

見える横顔が、ジーっと、何かを見つめている。


こちらに気づく気配はなく、すぐ側に居る男性に話しかけられているのに、素っ気なくしつつ、目線はずーっと何かを見つめていて。

そんな彼女の手を、側に居る男性が掴んだ。


それを見るが早いか、否か。

自分でもよくわからなかった。


体が勝手に動いていた、と言ったら笑われそうだけど。

事実、そんなこともあるんだな、と、頭の片隅が、まるで他人みたいに、自分の行動を見ていた。



ぱしっ、と。

取られそうになった水無月さんの左手を、俺の右手が、取り返した。




「……っ」


あまりにも反射的に動いた自分に、俺自身の頭が追いつかなかった。


「……あ、と…」


追いつかないせいで、驚きの表情を浮かべる男性に何を言えばいいのか、わからなくて。


「……っ」


きっと自分が一番、混乱して、困惑して、焦ってた、と思う。

なんでこんな行動に出たのか意味わかんないし、穴があったら入りたいし、出来ればそのまま出て来たくないです。俺。


そんな心境で居たら、不意に。