そんな風に、休日は重要な用事がない限り布団に包まれていたい性格の水無月さんが、今日は午後3時に目覚めた。

おはようという時間帯じゃないけど、水無月さんにとっては結構な快挙かもしれない。


「ふあ~……」


でもやっぱり眠いらしい。

薄い衝立の向こうで、大きな欠伸を無遠慮にしている。


「……眠そうですね」

「んーねむいよ~?」


そしてやっぱり眠そうに答える。


「眠いのに起きて来たんすか?」

「んー」


洗濯ばさみから衣類を外しつつ聞くと、間の抜けた声が返事をする。

かと思えば、ひょっこり。衝立の向こうからこちらを覗く、水無月さんの顔が現れた。

寝起きの顔だ。それでも美人だ。


「小野くんがね」

「……?俺?」

「小野くんがー、洗濯物取り込んでるなーって思ったから、なんとなーく起きて来たの」


そう言って水無月さんは、ふふーっと笑った。

眠そうな、ふんにゃりした笑顔だった。

おかげでこっちまで、眠くなってきてしまった。