となりの水無月さん。






+++++




この辺のお祭りは、それなりに大きい。

屋台も出るし、人も溢れるほどやって来る。

お祭りが好きってわけじゃないけど、こういう雰囲気は割と好きだ。


夕方くらいに、待ち合わせ場所で友人等と合流し祭りへと向かう。

大学で知り合った友人はみんないい奴ばかりで、気楽に付き合えて居心地がいい。

俺は交友関係が広いほうではなく、友人伝いで知り合った人のほうが多い。

だから気が合う奴等ばかりなのだ。


「夏だなぁー」

「人すげー」

「腹減ったべ」

「なんか食うか」


友人等のやり取りを聞きながら、俺は後ろの方でぼんやりと辺りを見回していた。


どこを見ても、人、人、人。

でもその中に、見慣れた姿はなくて。


「おーい、小野。お前もなんか食うかー?」


友人の呼びかけに、ハッとして視線を前へと戻す。

「…あー、うん」と頷きながら、俺は夕暮れの空を見上げた。


……探すつもりは、なかったんだけどなあ。