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この辺のお祭りは、それなりに大きい。
屋台も出るし、人も溢れるほどやって来る。
お祭りが好きってわけじゃないけど、こういう雰囲気は割と好きだ。
夕方くらいに、待ち合わせ場所で友人等と合流し祭りへと向かう。
大学で知り合った友人はみんないい奴ばかりで、気楽に付き合えて居心地がいい。
俺は交友関係が広いほうではなく、友人伝いで知り合った人のほうが多い。
だから気が合う奴等ばかりなのだ。
「夏だなぁー」
「人すげー」
「腹減ったべ」
「なんか食うか」
友人等のやり取りを聞きながら、俺は後ろの方でぼんやりと辺りを見回していた。
どこを見ても、人、人、人。
でもその中に、見慣れた姿はなくて。
「おーい、小野。お前もなんか食うかー?」
友人の呼びかけに、ハッとして視線を前へと戻す。
「…あー、うん」と頷きながら、俺は夕暮れの空を見上げた。
……探すつもりは、なかったんだけどなあ。


