言うと、水無月さんは首を傾げて「そっかー」と答える。
「でも自転車で行くの楽しそうだなあって思ってね?」
「……小学生か中学生くらいなら思ったかもしれないですけどね」
「そういえば小野くん自転車乗れる?」
「乗れますよ!」
「そっかー!よかったー」
今の会話で気づきたくなかったことに気が付いたんですけど、水無月さん。自転車乗れませんね。
「……あの」
「んー?」
「バスとかじゃダメなんですか?」
「んー、ダメじゃないけど、よくわかんないんだー。バス」
「っていうかなんで自転車なんですか?」
「えっとですねー、我が同僚のですねー、西村がねー、ここから海行けるから一緒に行くかーって聞いてきたわけですよー」
「…………はあ」
「西村はこの間自転車で行ってみたら行けたーって言ってたからね、もしかしてこれはあたしでも行けるのではないかと思ったのさー」
自転車を漕ぐのは水無月さんじゃないですけどね。
「でね、海が予想以上に綺麗だったから今度行く?って聞かれてねー」
「…………はあ」
「やーそれだったら西村より小野くんと一緒がいいなあってね、水無月さんは思ったわけなのさ」
「…………」
「ね、行こう、海」


