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ところで海までどうやって行くんですか?
出かける用意ができてから思い出して聞くと、水無月さんは人の家のベッドに寝転がったまま、
「んー?自転車だよ?」
と、広げたままだった俺の課題を眺めながら、平然と答えた。「なにこれ全然わかんない!小野くんきっと天才だよ!」とかなんとか言っている。
いや別に何も難しい事やってないですけど。水無月さん。ホントどうやって大学卒業したんですか。
ってそんなことはどうでもいいんですけどそれより何より、
「自転車で行くんですか!?」
バッグを手に電気を消したかどうかの確認をしていた俺は、ベッドの上に広げていた課題をすべて閉じていく水無月さんを勢いよく振り返った。
水無月さんは「よいしょ」と起き上がると、タオルケットの上にあぐらをかいて、首を縦に振った。
「うん。そうだよ?自転車で行くよ?」
「いやそんな平然に言われてもですね!?」
「あれ、小野くん知らないの?」
「はい?」
「ここから自転車で海行けるんだよ?」
「そんな近かったんですか!?」
「うん。2時間くらいかかるけどね?」
「近くないですよねそれ!?」


