となりの水無月さん。





キラキラと眩しい水無月さんの笑顔が、寝起き眼にとても痛い。

バシバシと水無月さんに叩かれている、寝起きの頭も、痛い。


「……なんで突然海なんですか?」


ため息交じりに俺がそう尋ねると、水無月さんは「小野くんの寝癖ー」と叩いていた手を止めて、ぱちくりと瞬きをした。


「え?だって、この間、予定立てたよ?」

「え、立てました?」

「立てたもん!夏休みにすること、ホラー見る、海行く、お祭り行く、とかいろいろ!」

「それ予定じゃないですよね!?」

「予定だもん!」

「日にちとかまったく考えなかったですよね!?」

「行きたい時に行くからいいのー!」

「よくないですから!俺が!!」


言い返したら水無月さんがムスッとした。

口を尖らせて「小野くんは頭かったいんだ」と悪態をつく。「寝癖つくくせにー」とも付け足した。


いやそれ関係ないですから。髪の毛の話してませんから。