けれども現実はそうそう甘くない。
目の前には、もはやパッケージさえも視界に入れたくないようなホラー映画のDVDを片手に、花の笑顔を浮かべる水無月さん。
圧倒的絶望感。
「こんなところで立ち話もなんですしー」
「…………。はあ」
「どーぞ、上がってくださいなー」
「…………。」
もはやため息も出ない。
きっとここで断っても水無月さんには勝てないし。
それは俺が一番知ってるし。
はあー……。と、内心でため息をつく。
一体いつになったらこの人に勝てるようになるんだろう。俺。
なんて、もう何度思ったかわからない願いにも似た疑問を、
「……わかりましたよ…」
そんな、諦めの言葉に取って変えた。
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ひとえにホラー映画と言っても、その種類は様々だと思う。
ゾンビ系とか、悪魔系とか、幽霊系とか。
俺がそもそもホラー映画とか見ないから詳しくはないけど、たぶんそんな種類があると思ってる。
で、今回水無月さんが借りてきたホラー映画はどれかというと。