もう2年は一緒に居る気がするのに、水無月さんの頭の中はいまだに予想不可能だ。


……でもまあ、水無月さんだししょうがないか。

なんて思ってしまう俺もアレだけど。ホント。



「……っていうか」


目をキラキラさせながらホラーDVDをしかと握り締めている水無月さんに、俺は聞く。


「なんでホラーなんですか」

「なんでってキミ、」


水無月さんは、さも当然と言いたげな口調で、言い切る。


「夏だからに決まってるじゃないかー!」

「…………。そうですか」

「そうともー」


それ以外に何があるって言うのさー。

と付け加えながら、水無月さんはくるりと、それはもう楽しそうにまわって見せた。

別に夏だからってホラーを見なきゃいけない決まりなんてないんですよ水無月さん。聞いてませんね。


……あー、そういえば去年の夏頃にもこんなことがあったようななかったような。

覚えてなかったなあ。

これからはちゃんと覚えておこう。

来年の夏は、絶対に水無月さんの映画の誘いには、乗らない。


「まあまあ小野くん」


密かに心内で決意表明する俺など知ったことではないだろう水無月さんは、楽しそうに俺の腕を引っ張る。

これが遊園地に来て楽しんでる水無月さんとかだったら、俺はどれだけ救われただろうか。