「パスタでも茹でますか?」

「んー……そうだなあ」

「昼からめんどくさいの言わないでくださいね」

「じゃあねー、カレーうどん!」

「いやカレーありませんから」

「だってカルボナーラの気分じゃないんだもん」


自分がカルボナーラしか選ばないくせにホントこの人どうしてくれよう。


「……じゃあ、俺の家にあるパスタソース持ってきますから。それから選んでください」

「うわーい小野くんステキー!」

「言っときますけど、カレーはないですからね!」

「カレーパスタって美味しそうなのに……」

「とりあえずカレーかけとけば美味いだろっていうアレですよね。水無月さん的には。」

「小野くんが考えればいいんだよー!カレーパスタのレシピー!」

「嫌です。」


なんでさー!と喚く水無月さんは無視することにして、畳んだ洗濯物を片付けに入る。

それからいったん隣に戻ろうと、ドアノブを回す。

ドアを開けると、そのタイミングを狙っていたかのように、後ろの方から、


「小野くん小野くん、パスタ食べながら、夏休みの計画立てようね~」


という、水無月さんの楽しそうな声が響いてきた。


「…………」


計画立てると、絶対計画倒れしそうだなあ。

なんて、ちょっと笑う。


玄関を出ると、どこからともなく、夏の匂いがした。