となりの水無月さん。





テーブルに顎を乗せ、口を尖らせて水無月さんは愚痴をぽつぽつと話す。

飲み終わったビールの缶を指で弾きながら喋るので、カンッカンッと小さな音が内容に混じってちょっとうるさい。これも毎度のこと。

「でさー西村のアホがね?」と続く水無月さんの愚痴を、俺はテーブルに頬杖をつきながらなんとなく相槌を打ち、聞いている。

テーブルの上の空き缶が以前より増えたのは、単に俺が酒を飲める年齢になったからという、そんな理由。

ちょっと前まではコーラとかサイダーとかだった。

誕生日は水無月さんにかなり喜ばれた。『小野くん20歳になったの!?ようし、あたしと飲み会だー!』とか言って。

最終的に飲みすぎてへばるのは絶対に水無月さんの方。

っていうか、それを見越してあまり飲まないのが俺というだけの話で。


今日だって。


「……むかつくよね?西村ってさー…」

「……はい」

「あたしと一緒に入社したくせに……」

「…………」

「……えらそうに…ばか……」


こうやって。

飲みすぎて、愚痴りまくって、いつの間にか寝息を立ててしまうから。


「…………」


俺はそっと立ち上がり、空き缶を水無月さんから少し離す。

それから、ベッドの上から落ちかけているタオルケットを手に取ると、起こさないように、水無月さんの華奢な肩に、静かにかけた。


「……いつもお仕事、お疲れ様です」


起きてる時に言うと、水無月さんは嫌がるので、いつもこうして、こっそりと言うのだ。