なので「ありません」と答えた後に、「強いて言うなら、少年って呼び方ですかね…」と些細なる抗議を口にすると、水無月さんは当然のように言う。
「え、だって小野くん、20歳だもん」
「いや、20歳ってもう少年じゃないと思いますけど……」
「え、そうなの?」
「そうですね」
「じゃあ20歳越えたらなんて呼ぶの?」
「……青年?」
「うわあ、そうだったんだ……水無月さん初耳……」
ホントどういう生き方してきたんだろう。この人。
「でも」水無月さんは何かを思いついたように、明るい声で続ける。「水無月さんからしたら小野くんはまだまだお子ちゃまなので、少年!」
「……。いや、たしか5歳くらいしか違わなかった気が、」
「あれ?そうだったっけ?」
一体この人は俺のことを何歳だと思っているのだろうか。
「まー、あたしがいいって言うんだから、いいのさー」
「……はあ、そうですか…」
もうどうでもいいや、と諦めて返事をすると、水無月さんはまたうつぶせになってクッションに顔を乗せた。
それから右手を伸ばしてきたかと思うと、何故か俺の頭の上に載せて、某動物好きのおじいちゃんみたいな感じで、わしゃーっとし始めた。
水無月さんはなんだかご機嫌な様子で、「よしよしー」とか言ってるし。


