っていうか、なんでことあるごとに学生を滅ぼそうとしているのか。この人は。

何か学生に恨みでもあるのか。いや、あるんだった。

休みの多さと言う恨みが。

でも水無月さんだって、その学生を経験してきたなら、休みの多さくらい知ってるんじゃないかなと思う。

……いや、知ってても恨みたくなるんだろうなあ。社会人になると。

と、なんだかんだと忙しく生きてる水無月さんを思い出したりする。


家に居るとごろごろしているところしか見ないから、忘れそうになるけど。

水無月さんも毎日、大変なんだろうと思う。


昼間からお酒を飲んでる姿を見ながらそう思い出すのは、一苦労だったけど。



「……そっかー」


ひとしきり喚いた後、水無月さんはクッションに顔を載せて、うつぶせに落ち着いた。


「小野くんはもう夏休みなのか~」

「……そうですね」


水無月さんはお酒の缶を指で弾く。

ベッドにころんと転がる缶。どうやら飲み終わっていたようだ。

それを見つめながら、水無月さんは言う。


「……今年も、ここに居るの?」