納得したように、「うんうん」とうなずいて、水無月さんはくるりと、回れ右をした。
そうして歩き出す。
……水無月さん限定って、そんな力があってたまるか。
なんて、心の中で、小さな悪態をつく。
結局、納得してるのは水無月さんだけで、当人である俺はまったくわからないまま。
……まあいいか。
水無月さんにしかわからないことは、俺が考えてみたところで、わかるはずもないんだし。
のんびりと歩く水無月さんの後ろを、数歩遅れて、歩き出す。
夜の匂いを嗅ぐ。
ぼんやりと夜空を見つめる。
ふと、水無月さんと一緒に仕事をしたらどうなるだろうと、考えてみた。
考えてみたけど、上手く想像できなかった。
なんだかいつもと変わりなさそうだし、なにより水無月さんが仕事をしているところが思い浮かばなくて、結局想像するのはあきらめた。
まあでも、水無月さんが、がんばれそうって言うので。
もしかしたら俺も、がんばれたりするのかもしれない。
もしもの話だけど。