どう考えてもこき使われそうだし。
恐ろしすぎて入社したいとも思えない。
そんな俺の心境など知ったことではない水無月さんは、空になったらしい缶を振り上げて怒る。
「おいでよー!小野くんもうちの会社おいでよー!」
「いやおいでよーとか言われましても」
「小野くんとお仕事とか超楽しそうなんだもんー!」
「ラクができそうの間違いじゃ…」
「小野くんがうちの会社に来てくれたら、水無月さんもっとがんばれるのに」
「……それは、」
どういう意味なのだろうか。
「……んー、なんかね?」
空になった缶を見下ろし、水無月さんは、さきほどとは打って変わって、のんびりとした口調で、言う。
「小野くんには、そういう力があると思うのさー」
水無月さんはそう言ってから、俺を見上げて、ふふふと笑った。
俺は少しだけ、頭を右に傾ける。
ポテチの袋が、ガサリと音を立てた。
「……よく、」ちょっとだけ、間を開けた。「わかりませんけど……」
すると水無月さんは、口をへの字に曲げる。
「んー?言われたことない?」
「ないですね」
「んー……おかしいなあ」
水無月さんも同じように、首を少し傾けた。
それから少し考えて、「……じゃあ」と。
「じゃあ、たぶん、水無月さん限定なのさー」