「……飲まないの?」
「……え、飲んでいいんすか」
「水無月さんが許可してるからいいのさ」
そんな決まりがあったんですか。知りませんでした。
「というわけなので、ほいっ」
水無月さんは、手に持っている缶を、ずいと俺の方へ寄越す。
俺は反射的に、空いているほうの手でその缶を受け取った。
水無月さんが自分の分を分けてくれるなんてことが、不慣れすぎて。
どう対処していいかわからなかった。
バカじゃないのか、って思うけど、わからなかったのでしょうがない。
受け取った缶を見下ろす。
まだ半分以上入っている缶は、重い。
「ラムネ味美味しいよー」
水無月さんの、のんびりした声が言う。
知ってますよ。
という返答を呑みこむようにして、缶に口をつけた。
一口飲んで、口を離す。
「ね、美味しいでしょー」
隣で何故か、得意げにそう言う水無月さんには申し訳ないけど。
なんだか味が、わからなかった。


