致し方なく、俺が選んだのは水無月さんが最初に食べたがっていたポテチ。
だいたい水無月さんは、あとになって「やっぱりアレも食べたかったなあ」なんて言い始めたりするし。
買っておくに越したことはない。買いに行かされるより数倍マシだ。
なんて考え始めるようになった自分にため息。
ホント水無月さん中心で世界廻ってるじゃん。俺。
水無月さん居なくなったら、この世界ってどうやって廻るんだろう。
っていうか廻れるのか。俺の世界。
ということを考えてみたけど、まったく想像できなかったのでやめた。
完璧に毒されている。
誰か解毒剤ください。
「んーっと、まずはどれ飲もうかなー」
心中でどんより気分の俺とは対照的に、隣を歩く水無月さんは、俺の持っていたコンビニ袋の中をガサゴソと漁っている。いつの間に奪われていたのか。
しかも鼻歌混じりだ。
なにこの温度差。風邪引きそう。
「やっぱり最初はー……これ!」
そうして袋から水無月さんが取り出したのは、ラムネ味のチューハイだった。
いい加減にしてほしい。


