となりの水無月さん。





えー、じゃないっすよ。えー、じゃ。

えー、って言いたいのは俺の方ですから。いやホント。


「どうせ作れって言うんでしょ…」

「もちろん!」


何がもちろんなのか。


「嫌ですよそんなめんどくさい……」

「えー!食べたいのに!小野くんが作った!お味噌汁!」

「あさげでも飲んでてください」

「そんなのはイヤじゃー!」

「イヤじゃー、じゃなくてですね」

「だってあたしアレだもん、ひるげ派だもん!」

「いや知るかよ!」


っていうか、ひるげとかマイナーすぎてお店であんまり見かけないっすよ!水無月さん!どこから調達してんすか!

そして何より、今までこれを買ってきてほしいと頼まれなくてよかったと思った。

だって見かけないし。何件店回ればいいか見当もつかないし。

なんてことを考え、内心で身震いしている俺の隣で、水無月さんは「むう」と口を尖らせている。

出ました水無月さんの十八番。拗ね顔。

もう見慣れたなあ。勝てないけど。