となりの水無月さん。





そんな笑顔で言われても困る。

褒められているのかなんなのか複雑だし。とっても。

なので複雑な顔で「そうですかね」と返した。


「俺的にはものすごく微妙な気分ですけども」

「そうなの?あたしはすごいなーって思うよ?」

「……お母さんみたいなのが?」

「ううん。なんでもできるところが」


なんでもできるわけじゃ、ないんだけど。

水無月さんは、ずりずりとこちらに寄ってきて、俺の手元にある畳みかけの洋服を見下ろした。


「洗濯物を畳むのとか、上手だし」

「普通だと思いますけど……」

「あと、料理もできるでしょ?」

「…まあ、ちょこっとですけど」

「掃除も綺麗にするし」

「それも普通レベルですけどね」

「すごいことだよ、とっても」


少なくとも、あたしにはできないもん。

水無月さんはそう言って、ふふふと笑った。


たしかに水無月さんは、家のことはなんにもしないし、できないけど。

でも朝は寝坊せずに起きてるし、仕事には毎日行ってるし、いつも疲れた顔で帰ってくるから、大変そうだなって思うし。

そういうの見てたら、水無月さんも、すごいと思う。俺は。