「…そうですね、空いてます」
ぼんやり答えると、途端に水無月さんはキラキラした表情を浮かべた。
「そう?そうだよね?ようし、飲みに行こう!」
言いながら、水無月さんは俺の腕を両手でとって、上下にブンブン振った。
ついさっきまでおなかが空いて力が出ない、とか言ってたのに元気すぎるこの人。
対する俺は。
「…え、今からですか?」
「うん!もちろん!え、ダメなの?」
「いや、ダメっていうか、一回家帰りたいっていうか…」
「え、なんで?」
「なんでって…俺この格好なので着替えを…」
正直に答えた直後、水無月さんは、掴んでいた俺の腕をさらに強く引っ張った。
引っ張ったっていうか引き止めるっていうか、とにかくそんな感じだった。
「えぇー!ダメだよー!小野くんはその格好のままで今日という人生を過ごそうよー!」
「いや何言ってるか意味わかんないんですけどとりあえず今日なのか人生なのかどっちかにしてくださ、」
「人生!」
「一生このまま!?」
くそう、選択肢を与えるんじゃなかった。俺としたことが。


