それから思い出したように、「あー!」と、今度は右手の人差し指を俺に伸ばして見せた。
「この間ね!思い出した思い出した!」
「……今日は大丈夫でしょうか」
「うん!ちゃんと分けてあるよ?洋服と下着!」
「言わなくていいです!」
怒って見せると、水無月さんは「あははっ」と無邪気に笑った。
俺にとっては全然笑い事じゃない。なんにも面白くない。
大量の洋服を畳んでいる時に、洋服の山に紛れ込んでいた水無月さんの下着を発見した時の心境は、もはや思い出したくない類のアレである。
焦りと罪悪感とその他いろいろを織り交ぜた声で『ちょっ!?ちょ、水無月さん!?』と必死の思いで水無月さんを呼んだのに、彼女本人は『わ~ごめんね!分けるの忘れてた~』と、それはもうあっけらかんとした調子だった。
わ~ごめんねーじゃないっすよマジで。
洋服とその他を分ける時は3回確認してくださいねって言ったのに俺。
アレはもう二度と味わいたくない。
ちょっと泣きそうになったもん。
それなのに水無月さんが、
「小野くん、鍵開けて待ってるよ~」
と、笑顔で手を振ってるのを見たら、なんだかもう、ため息意外に口から出る言葉なんて、なかったりするのだ。


