ふと、押領司クンの視線が私を通り抜けた。 私は視線を遮るように斜に構える。 「ちょっとぉ、押領司クン。可愛い子でもいた?」 押領司クンはそれを否定しない。 そして、耳打ちするように顔を近づけた。 「あそこ、加奈ちゃん」 私は思わず振り向いた。 隣の隣の席。 案内されて席に着こうとしている加奈ちゃんのお父さんと目が合った。 途端、私が逃げ出したくなるようなスピードで、加奈ちゃんのお父さんが近づいてきた。