「ロープウェイ乗口」そこで電車を降りた。

狭い歩道の脇の、更に狭い階段を登る。

更に更に登って、その上がロープウェイのりば。

ヒールの低い靴にして正解だった。


そういえば、ロープウェイに乗って城山公園といえば、定番のデートコース。

まさかこの歳になってそれをするなんて思ってもみなかった。


(あー、運動不足がたたるぅ)

私の声が聞こえたみたいに押領司クンは振り向いた。

そして、手を差し出す。

私はちょっとためらったが、にっこり笑って、その手をつかまえた。


(仕方ないなぁ。押領司クンの青春に付き合ってやるかな)