突然、ケータイが鳴った。


「あ、あのぉ。押領司っすけど」

なに?
心拍数が急上昇する。

ちょっと目を離したすきに何があったっていうの。

それでも平静を装う。

「どうしたの」
「あの、お礼に食事に行きませんか」

なになに、さっきから電話するかしないかで、迷ってたってこと?

うー、可愛いじゃないの。

「そんな気をつかわなくても良かったのに」
「いえいえ」

「どこに連れてってくれるの」
「どこがいいっすか」

Mビルに新しくできたイタリアンのお店がすぐに頭に浮かんだ。

でも、さすがにちょっと遠慮した。

「そうねぇ、それじゃぁ、押領司くんがいつも行ってるところ」