―君ノ隣―



麻里side


あたしはなにしてんだろ。
いずれバレることなのに。

こんなことしたって無駄なのに。


でもそれでも…。


その日の放課後に一緒に帰り、そのまま智樹の家に行った。


「なんか飲み物持ってくるから待ってて。」


そう言って部屋から出ていった。

久しぶりに入った智樹の部屋はなにも変わっていなかった。

ベッドにもたれて座るとベッドの下に小さな箱がおいてあった。


中に入っていたのは、雪奈ちゃんとおそろいのものだと思われるブレスレットとネックレス。


そしてプリクラや写真が入っていた。


あたしはその小さな箱を自分のカバンに入れた。


「紅茶でいい?」


「ありがとう♪」



楽しい時間が過ぎるのはあっという間だった。


智樹の優しさも笑顔も何一つ変わっていなかった。


その笑顔を見るたび胸が痛む。


罪悪感と後悔が胸に突き刺さる。


だけどこの幸せを手放すほど心は広くない。


もうなにも考えない。これでいいの。