―君ノ隣―



亜由加は泣いている私の手を引いて屋上に向かった。

屋上には誰もいなくて、日が照っていて少し風が吹いていた。



「とりあえず座ろ?」


「私っ…彼女って言えば良かった…!!」


「雪奈…!」


「今さら後悔しても遅いのに…私…後悔してるっ!!」


「いい気味。」



屋上に現れたのは麻里ちゃんだった。
すると亜由加は麻里ちゃんの元に行き、胸ぐらをつかみ睨み付けた。


「あんたねぇ…自分のしたことわかってんの!?
雪奈がいまどんな気持ちかわかる!?」


「そんなの…わかりたくもない!!
今しかないって思ったから…
だから自分のしたいようにしただけよ!!」


「あんた…頭おかしいんじゃないの!!」


「やめて!!」



私は二人の間に割り込み引き離した。
じっと麻里ちゃんを見ると、乱れた服装を直して私に向き合った。
麻里ちゃんは泣いている私とは反対に嘲笑っているように見えた。



「なんで…?なんでこんなことするの?
いつかバレることなのに…。」


「その時はその時よ。だいたいあんたが現れなければ!!」


「なに…雪奈のせいで智樹と別れたとでも言いたいの?」


「亜由加!!」


「全部自分が悪いのになんで雪奈のせいにするの!?
あんたが…浮気ばっかりして、自分のことしか考えてなかったのが悪いんでしょ!?」


「うるさい!!!智樹は…あたしのだから…!」


そう言って麻里ちゃんは去って行った。私と亜由加も教室に戻るため屋上から出た。


「ごめんね…。あゆがキレちゃって…。」


「全然いいよ?なんかスッキリしたし♪ありがとう。」


教室に戻るとみんなが心配してくれた。
気を遣ってくれたのかなにも聞いてこなくていつも通りに接してくれた。