―君ノ隣―



私の隣に座っているのは智くん。

話もしなければこっちを向いてもくれない。

重たい空気が二人の間に流れる。


「バス出発するぞー!
移動してもいいけど止まってるときだけなー!」


バスが出発した。

今日から修学旅行なのにこんなんで楽しめないよ。

自分から行動しなきゃ。


「智くん…あの…。」


「なに?」


「私…智くんを傷つけてた。
竹井くんの話ばっかりして智くんの気持ち考えてなかった。本当にごめんね。」


「それで?」


「智くんの気持ちをちゃんと考えて行動する…。」


「雪には無理だろ…?
さっきだって楽しそうに話してたじゃん。」


「なんでそんなことゆうの!?」


楽しそうにわいわいしていた空気が一気に冷めて車内が静かになった。

ちょうどバスが信号で止まり、智くんは政くんの席に向かった。


「亜由加ごめん。席替わってほしいんだけど。」


「うん…いいよ。」


「あっきー!
カラオケないのー?カラオケしよーぜ!」


「あるみたいだぞ!みんなでするか!」



政くんが気を遣い空気を変えようと提案した。

クラスメイトも盛り上がっていつもの騒がしさに戻った。


「ゆーきなっ♪」


「亜由加…。」


「どうしたの?あゆ…話聞くよ?」


私はカラオケで盛り上がっているなか
涙を流しながら亜由加に話した。

亜由加は私の背中を優しくさすって話を聞いてくれた。