「それなら……リュウの方がやましいことあるでしょ?」
「あ⁉」
こんなこと、言うつもりなんてなかった。
気付いたら勝手に口から漏れていた。
「綺麗で派手な女の人と毎日楽しくお酒飲んでるじゃん。VIPルームで酔った客に言い寄られて、う、浮気してるんじゃないの⁉」
売り言葉に買い言葉。
本当はただ不安なだけなのに、疑われたことが情けないやら悔しいやらで、ついそんなことを口走ってしまった。
「ははっ、なんだソレ」
感情のこもってない乾いた笑い声が辺りに響いた。
言ってしまってから後悔しても、もう遅い。



