「え⁉うん」
いきなりまた不機嫌な声を出したリュウが、本当にわからなかった。
握られた手にギュッと力が加わる。
え⁉
なに……⁉
「働く必要ねぇだろ?」
リュウの言葉に耳を疑う。
「な、なんで?」
働く必要がない?
「欲しい物はなんでも買ってやる。生活費だって俺が面倒見てやるから」
「いや、でも……」
結婚してるわけでもないのに、リュウにそこまでしてもらうのは気が引ける。
「なに、嫌なのかよ?」
「嫌とかそういうことじゃなくて……結婚してるわけでもないし……」
「じゃあ結婚するか」
モゴモゴと口ごもるあたしに、リュウはサラッとそう言った。



